2ヶ月目

一番沈んだ日々

10:26

生理前もあるんだろうけど、不安定さが増している。

昨日の、生きてて意味あるのかな、とか、ぼーっと思ってしまったこと。ふっと気を緩めると、また、あの涙や絶望感やそういったものに飲み込まれそうになる。

13:28

苦しい辛い悲しい。自分の内に留めておくには辛すぎて重すぎて、吐き出したいものがある。溢れてしまっても良いように、それに居場所を作っておく。それがこの日記だ。

13:56

病院でのある瞬間、あの夜のある瞬間、葬儀のある瞬間。突然それらワンシーンが頭に浮かび、すっかり囚われの身となる。この手この足、いまや頭や心にも、枷が嵌められているかのよう。

いつか、自由になる日が、いつか、来るのだろうか。

…やばい、すごい情緒不安定だ。

と同時に、紀亜から16分前、隆から2分前、そして梨衣ちゃんから今、それぞれにメッセージが来て、嬉しくて泣きそうになってもいる。

心と感情がぐっらぐらで、ちょっとつつかれただけでもう倒れてしまいそうだ。前にも、後ろにも、悲しみにも、苦しみにも。でも、喜びにも。

14:35

今日はあれから何日目なのだろう。

10月がもうすぐ終わる。ということは、もうすぐ、亡くなってから2ヶ月が経つ。倒れた日からは3ヶ月。季節が変わるは十分な時間だ。

なのに。遺影を見つめる。未だに現実と自分との乖離を感じる。一生そうなのかもしれない。

鬱っぽい、という意味では、悲しみに沈んでいる、という意味では、ここ一週間強がピークかもしれない。

河井さんからメッセージが来て、また泣く。

冷蔵庫に貼ってある結婚式の写真が、元旦に家族で食事をしている写真が、テレビの下にある日常のワンシーンが、若い頃の写真が、そのどれもが苦しみを与えてくる。特に結婚式とか、幸せそうなふたりの写真が目に入ると、切り刻まれそうに辛い。

あの日々を、奏くんを、返してほしい。

次は、ひとつひとつをもっと大事にするから。だから、お願い、私に奏くんを、あの日々を、返してください。

何を差し出せば、叶うのだろう。何を差し出せば、こんなに悲しくて苦しくて辛い日々に終止符が打てるのだろう。

こんな取引みたいなこと、無意味だなんてわかっている。

奏くんと付き合って一年くらいか、別れの危機が一度あった。泣きながら眠り、目が覚めて泣き始め、その日は一日中、何をしててもひたすら涙が流れ続け、こんなに好きだったんだとやっと気がついた。

人生で泣き暮らしたのは、あれが最初で、次がこの日々。どちらも奏くん、あなたを失う、に直面したこの2回だけだよ。

涙にこうして教えてもらわないとわからないだなんて、なんと自分は愚かなのだと、あの時も痛いほど思ったのに。

少し落ち着いた。30分くらい泣いたから、さすがに疲れるよね。正直に言えば、これを待っていた。疲れて泣き止む以外に涙が止まることは無いと、わかっていたから。

アップルパイとミルクティを再開だ。甘いものを体に入れよう。

17:42

今日は疲れた。

そういえば、いつもと同じ茂原公園の外周コースだったのに、なんだか今日は息が切れた。出だしから、疲れていたんだな。昨日の夜も泣いて泣いての時間が長かったし、運転も長かったし、その疲れかもしれない。

22:57

あなたがいなくなったこと

この世界から

もう二度と会えない

あまりにひどい現実に

吐きそうになる

日に何度だって

その不在を受け入れているのに

受け入れ切れてはいない

そのどうしようもない現実に

ただただ涙して

行き場のない怒りや悔しさ、言葉にできない激しい感情に襲われる

日に何度だって

.

本当に、もういい加減、せめて夢で会わせてよ。目が覚めたそのあとが苦しくても良いから、朝から涙しても良いから。せめて、夢で会わせてよ。お願いだから。

どんなに悔やんでも、もうどうすることもできない。

この家にいるのは辛い。奏くんを感じない場所なんてない。

でも、どこに行ったって帰ってくる場所はここ。一緒に過ごしたこの場所を去るなんて、考えられない。

こんな日々を過ごしていたら、…。どうにかなってしまいそう。

もうすぐ丸2ヶ月になる。こんなに辛いことがあるなんて、知らなかった。

心の支えは、たくさんあるはずだけど、でも、不安だよ。

スナフィがいて、本当に良かった。いなかったらなんて、不安すぎて真っ暗すぎて考えられない。「スナフィはどうするんだ」。そう思うことが、私自身のストッパーとして機能している。

奏くん奏くん奏くん。

もう一度、名前を呼ばせて。

隣に座っていて
寝顔を見せて
笑っている顔を見せて
一緒に美味しいごはんを食べよう
あなたとただ、一緒にいたい

1日中、良くこんなに涙が出る
それでもまだ、止まる気配がない

会いたいよ
せめて夢で会わせて
本当に、お願いだから

いつか、こんな涙に暮れずに日々を暮らせる日が来るのだろうか
だとしたら、それは、いつ頃なのだろう

こんな日がまだまだ続いたら
その言葉は、不安しか生まない

この前みたいに、応えてほしい
夢で会いたい
お願い、せめて夢で

望みすぎかな

ご両親はどうしているかな。2ヶ月という時間が来て、こうして、私はこれまでで1番沈んだ日々を過ごしている。明日か明後日か、電話してみよう

今日は本当に良く泣いた。

週末、気が張っていたこともあるのかな、しわよせ?揉み返し?みたいなものかな?

でも、今日はちゃんと仕事もして結果も出したから、そこは自分を労ってあげても良い。良く頑張ったよ。洗濯もしたし、水もやったし、散歩もちゃんとしたし。野菜も買って、ご飯だって作った。そうだ、ゴミも出したね。良くやった、自分。

目に入る写真の存在が辛い。どうしたら良いんだろう。

とりあえず、ベッドルームに行こう。

23:50

ベッドサイドには、サーフボードを小脇に海から上がってきた奏くんがいる。オーストラリアのビーチ。透明感のある青い海に、青い空。白い雲に、白い砂浜。若い奏くんはずいぶんと良い体をしている。

今この瞬間もきっと、こんなに綺麗などこかで、思いっきりサーフィンをしているんだ。そう思ってみる。うん、そう、どこかで、波に乗っている、楽しく。とにかくサーフィンしたい、と、そう言っていたじゃない。

死ぬことは怖いと思う。一方で、もし奏くんが迎えに来てくれるのであれば、奏くんに再び会えるのであれば、それは悪くないかもしれない。

奏くん。本当に会いたい。

そろそろ、この世とあの世との交差点かもしれない夢のなかで、そろそろ私に会いに来てくれても良いんじゃない?

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