16:47
お腹のあたりに、どうしようもない塊みたいな存在がいる事に気がついた。
病院から届いた分厚い明細の塊。思い出していたら気がついた。
叫びたいのに叫べない。吐きたいのに吐けない。塊を内に抱えて、ここに立ち尽くすしかない。
19:57
その塊らへん、胃のあたりが、時折きゅーーっと苦しくなる。
仕事がひと段落して、ご飯にしよう、とキッチンに行く。電気をつけて、ストーブをつける。
「ご飯何にしよう」
思った途端に、きゅーっとなる。
「奏くんがもういないだなんて信じられない」
わからないほど繰り返され擦り切れそうなその言葉を、また頭のなかに浮かべる。決して、口には出さない。外気に触れたことのない、その言葉。確かに母が言ったように、私はそういう言葉を口には出さない。「もういないだなんて信じられない」って、いない前提の暮らしを日々送っているのに。
塊を抱えて、夕飯の支度をはじめる。大丈夫、オーディオブック無しで。
静かなときを、今の私は選ぶことができるから。