6ヶ月目

「今日はひとりで過ごしたい」

12:44

週末2日目の日曜午後。今日をどう過ごそう。

何度目かの二度寝の後、11時過ぎにようやく身体を起こす。9時間眠った身体が重たい。洗濯物を干して、お昼ごはんを作る。

二つの選択肢を行き来していた。

八鶴湖散歩からの Cafe NOL に行くか、近所で散歩からのひとり時間を過ごすか。

八鶴湖は、冬の静けさだろう。アヒルのアフラックは今日はいるかな。こじんまりとした湖をスナフィと一周すれば、カフェで美味しい浅煎りのコーヒーを淹れてもらって、柔和な庄司さんと言葉を交わす。あの静かな空間で。いや、今日は日曜日だし、お客さんも多少入るかもしれない。

サバ(缶)の八丁味噌煮とサラダほうれん草のサラダ、十五穀米のワンプレートランチを食べ終わり、自分に聞いた。

「で、どうする?」

「今日はひとりで過ごしたい」

すぐに返ってきたその答えに驚いた。自分の声、ちゃんと聞こえたじゃん。なんだかとても嬉しくなった。

OK、それならば、そうしよう。じゃあ、散歩から帰ってきたら、私のために、私がコーヒーを淹れるね。ちょうど浅煎りがあるんだ、最近お気に入りの Foret Coffee の Ethiopia が。

16:45

それは突然やって来たから、いつもの散歩道を泣きながら歩いていた。

頭の中は、奏くんでいっぱいだった。きっかけは、些細なことだったのに。今や恋しさの津波に完全に飲み込まれてしまった。顔を上げる。もうちょっと、もうちょっとで家だ。

太陽のように明るくて、少年のように楽しそう、エネルギー溢れていた奏くんが、今や私の内側を満たし溢れんばかり。顔を上げれば、私たちの家。白い壁に、赤い三角屋根の、ふたり分の暮らしの詰まった私たちのだった家。

喪失の苦しみに、眼の前が突如暗転する。最近は安定しているななんて、思っていたけれど。

もしかすると、季節を一周することが、必要なのかもしれない。それだけの時間とその分の日々を重ねることが。仏教的ではない、私の喪中の期間として。

18:01

ストレスのかかること TOP 10 を上げるとしたら、ぜひ入れたいこの2つ。故人の確定申告とサブスクの解約。

共通項は、故人の情報(生きていた痕跡)を辿る(漁る)。

解約に立ちはだかるは、ログインの壁。特にパスワードなんて、分かるはずもない。カスタマーサポートがあるような大手サービスはまだいい。苦痛は伴えど困難ではない、彼らが手を貸してくれる。問題はログインしないと解約できないやつで、圧倒的多数がこちらだ。道半ばにて戦略転換を図る。カードが解約されることでの自動的なフェードアウトだ。しかし無念、請求先がファミリーカードになっていて家族の元に請求先が切り替わるだけなことが分かり、泣く泣くやり直す。メールを辿り、スマホを調べ、手帳やメモ帳を漁る。ストレス度MAX。

最後のひとつ(分かっている範囲で…)を解約し終えて、時計を見る。トータルで6時間くらいかかっていた。

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