2ヶ月目

Paddle Out Ceremony

24:16

ハワイでは、サーファーが亡くなった際にはパドルアウトセレモニー(paddle out ceremonies)でその別れを悼む。サーファーの仲間たちが皆で沖に出て、輪になって祈り、お花を投げ入れる。散骨をする場合もあると聞く。そして、皆で波に乗る。

14でサーフィンを初め、以来、その中心はサーフィンだった奏くん。お金を貯めてはサーフトリップへ出かけ、日本のみならず、ハワイ、バリ、そして、サンディエゴへ出かけていた(と聞く)。

そんな奏くんを偲んで今日、奏くんの幼なじみが中心になり、一宮のサンライズでパドルアウトセレモニーが行われる。

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朝8時半。奏くんの小学生からの友人、ヒガシくんが家に来る。

お花屋さんであるヒガシくん。お花をたくさんたくさん、もう本当にたくさん、持ってきてくれた。デルフィニウムという青と水色の可憐な花。ラテン語のそれが「ドルフィン」を意味することを教えてもらう。

ドルフィン。イルカ。

奏くんは二の腕に二頭のイルカが陰陽のシンボルを囲んでいるタトゥーを入れていた。

ヒガシくんが水泳に端を発した思い出話をしてくれる。小学校の時からとにかく水泳が早くとても追いつかなかったこと(ジュニアオリンピックに出るまでになった)。5年生で初めて同じクラスになり、やたらと声が大きいやつがいるな、と思っていたこと。内気なヒガシくんにも奏くんは声をかけていたこと。奏くんからヒガシくん話として聞いていた八丈島へのサーフトリップの話も少しだけした。

頂いたたくさんの青いイルカのようなデルフォニウムを活ける。瞑想のようで、好きな時間だ。

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8時過ぎにJoshが来る。セレモニーの様子をドローン撮影してくれる予定だ。

奏くんの二本の板を持って出発したヒガシくんとの入れ替わりでCalvinとErinが来る。31度まで気温が上がる予想らしく、お留守番のスナフィーのために冷房を付け、出発する。

Joshの運転で一宮へ向かう。道中、声を録音しておくのが大事だって知ったよ、という話をする。

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一宮に到着すると、奏くんの波乗り友達が30人以上集まっていた。葬儀に来てくれた人もたくさんいる。

セレモニーが始まる。

沖に出たみんなが良く見えるよう、Calvinが防潮堤の高いところに私の体を持ち上げてくれる。

みんなが奏くんを、奏くんとの日々を思ってサーフィンするところを見て、また泣いた。

私の知らない日々。私の知らない奏くん。それを垣間見れたことが、とても嬉しくて、有難い。

Joshが撮影のみならずまさかその場で編集を頑張って仕上げてくれた。皆んなを前にして、ラップトップで映像を見せている様はまるで紙芝居のようで、なんだか愛おしい光景だった。

そして、ヒガシくん。デルフォニウムと花器とサーフボードで奏くんの祭壇を作ってくれ、帰りには送ってもくれて、言葉にならない感謝でいっぱいだ。

奏くんはこんなにも愛されている。葬儀の時も、そう感じていた。

そんな奏くんを、ずいぶんとひとりじめしていたんだなぁ。

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