21:55
大洪水だ。
ただひたすらに涙が出てくる。夕飯前に、夕飯後に、足元に小さな水たまりができるほどにひたすらに泣く。
泣き疲れた身体を引きずって寝室で横になり、ストーブをつけ本を開いた。いい感じに集中していたのに、膝に上がってきたスナフィに現実世界に戻され、その途端にまた涙が溢れてくる。
参ったな。
今朝の夢の余韻。
奏くんがそこにいてくれて、全身全霊で想いを伝えることが出来て、彼からの想いも受け取ることができた。
だから、
その夜が、こんなにも、ただひたすらに、奏くんを恋しい想いで溢れてしまうのは、きっと自然なことだ。
だから、
この想いにただ身も心もすべてを委ねよう。
あなたへの恋しさにどこまでも涙を流そう。
22:50
喪中はがき。
出さないと。重すぎる腰をなんとか上げて、納戸から昨年の年賀状を引っ張り出す。一枚、一枚を手に取る。
だれにだすかきめて、でもそのまえに、なにをかくのかかんがえて
無理だ。
でももう、17日。あと2週間。
23:19
沙子から、短い言葉の添えられた一枚の写真が届いた。
立ち並ぶ中高層のビルの上の夜空に、美しい白い半月が浮かんでいる。
「月がキレイだったから」。
泣いた。
誰かを想って月を見上げるその気持ちの美しさに、涙が出た。
YouTubeを開いて、Louis Armstrong の 「What a wonderful world」を流した。もちろんまた、涙に溢れた。
でも、本当にそう思ったんだ。
What a wonderful world、と。