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友人のケビンと電話で話していて思い出した。意識が戻った奏くんは「新しい人生だ」と言った。「サーフィンしたい」、「もっと健康な暮らしをしたい」、そして、「もっと写真を撮りたい」。写真はどうしてなの?って、なんで聞かなかったんだろう。
代わりに、私が写真をたくさん撮ろう。
「零はもっと写真を撮った方が良いよ、良い写真撮るんだし」奏くんが言ってくれたある日の言葉が戻ってくる。フィルム写真は、共通する趣味のひとつだった。光を撮るフィルム撮影で撮れた写真が好きだ。腰が重いけれど、私が、奏くんの代わりにたくさん写真を撮ろう。
葬儀前日から泊まってくれていた隆が帰る。バトンタッチするように、梨衣ちゃんが泊まりに来てくれる。夕ご飯にと、ガパオご飯やゴーヤチャンプルーを持って。ひとりで寝なくていい。このガランとした家に。それがどれだけ有り難いことか。どれだけ救われていることか。