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仕事に打ち込んでいる時と、誰かと一緒にいる時。
心が、唯一、奏くん以外を慮れる時。それ以外はもうずっと彼のことを考えている。
翻って、彼といた時の自分はどうだっただろう。
あの頃、「ふたりの日々」はあまりに日常だった。すぐ隣にいる彼に、どれほど心、向けられていただろう。あの頃の彼の姿を、どれだけ覚えているだろう。私の頭はいつだって仕事でいっぱいで、心ここにあらずだった。
なんと愚かなことだろう。
息が詰まる。
もう2度と、もう2度と、こんな思いはしたくない。しない。
自分にだって、いつ最期の時がやって来るか分からないのだ。今が、永遠に続くことはない。
この人生最大の学びを、決して無駄にはしたくない。しない。
だから、今を生きよう。めいいっぱいに。心身ともに。もう2度と、心ここにあらずにならないように。
重い腰を上げて、夕飯の準備に取り掛かる。豚しゃぶとキャベツを一緒に蒸して、サラダケールを添える。オリーブオイルにバルサミコ酢塩胡椒で食べよう。これがあれば満足だ。先日作った春の二品、うどの酢味噌和えに、うどのぬたがあったので、喜んで白ワインをグラスに注ぐ。
甚大な悲しみに消耗した心身から、回復の途上だ。
胃痛は治ったし、お腹の調子だってもう一歩。毎日12時間超えの睡眠で身体は軽くなった。とは言えまだ疲れやすいし、まだ眠い。
今の私にとって、限界まで詰めてしまうことは赤信号だ。余裕・余地・余力といったものを、いつだって残しておこう。
いただきます。