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どれだけ泣けば。どれだけの時が過ぎれば。
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開いた目をもう一度閉じて、見ていた夢のしっぽを必死に掴もうとする。と、明晰夢の感覚に触れた。
「これは夢だ」と夢の中で気が付いて、意識を向けて行動をしてみていた、その感覚。まるで実体験のように、身体に残っていた。それで、どんな夢を見ていたんだっけ?さらに記憶を辿る。彼の記憶を、少しでも増やしたい。
あ。
遠くに、見えた気がした。
奏くんの夢を見た。
彼は、前回と同じく、言葉を発することは無かった。でも、その存在全体で、私を受け止めてくれていた。どうしようもない気持ちの私を、ただそのままに。
彼の愛に触れて、大きく息を吐いた。目を開くと、涙が頬を伝った。良かった。思い出せて、本当に良かった。
半年間、ずっと、ひとりで、涙を流し続けている。
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午前中は森公園をスナフィと散歩した。
見上げた満開の桜が、卯月の風に揺れる。季節を愛でる時間を、なぜもっと取らなかったのだろう。朝の桜をこうして眺めることだって、一緒に出来ただろうに。
昭和の森を歩きながら、ずっと奏くんのことを考えていた。
いつだって、彼は私のなかにいる。
そうやって、半年。
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ここ1週間は体調が悪い。
顔には蕁麻疹、胃痛に頭痛。耐え難い頭痛に薬を飲んで寝た夜もあれば、疲れすぎで眠れず、彼恋しさに泣き疲れて寝た夜もあった。食事には胃薬が欠かせなくなった。キャパオーバーの仕事に、月命日に奏くんの誕生日、それに生理。
限界近くまで働き過ぎ詰め込み過ぎて、バランスが崩れたのだろう。