21:18
21時ちょうど発、わかしお21号。
車窓に流れる景色。窓に映る自分。川。高速道路。街灯。スクラップ。投光器。
音楽は景色にドラマを与えて、感情が揺さぶられる。
寂しさが広がる。またこの感じだ。家族や友人としばらく一緒に過ごした後、決まってやってくるこの感じ。家に着いたら、このモンスター版が襲ってくるのだろう。気が塞ぎそうになって、車窓から目を外した。
22:45
駐車場に向かって川沿いを歩く。音楽を聴きながら、空を見上げる。
三日月の夜でも、街中だからか星の数は少ない。
iPhoneの通知が鳴る。隆だ。
「あとで電話していい?」
差し出される手、夜と街と私とに。
小さな星の瞬きに、雲が天の川のように伸びていた。