15:46
「飲むとどうなるの?何のために飲むの?」
青にそう聞かれたときは答えられなかった。
青、わかったよ、泣くためだったよ。
涙が開ける、感情の扉がある。悲しい、苦しい、寂しい、恋しい。流れ出る感情に、反応と行為が生まれる。出す、見る、聞く、許す、認める、書く、知る、包む。
いつかコーチに聞かれたことがある。
「何のために書くの?」
奏くんは、弱音を吐いたり泣いたりもできる、たったひとりの存在だった。彼亡き今、それを書くことで出しているのだ、と、自分が言ったのを聞いた。
何のために書いているのだろう。
出すため、だけだろうか。
彼が、死ぬということ、それは翻って、生きるということを教えてくれている。それはまさに、一番の贈り物だと思う。分からないけれど、だから、書いているのだと思う。
25:19
ベッドで本を読む。顔を上げた寝室のドアが、やけに重たく寂しい。
足の間で眠るスナフィの体温に意識を向ける。温かさ。小さく上下する身体。温かで湿った吐息。
スナフィがいるから、この日々を乗り越えてこれた。彼無しでは考えられない。絶対に無理だったと言い切れる。
お布団の中に手を伸ばす。スナフィを抱き寄せて、その体温のなかで一緒に眠った。