7ヶ月目

感情の扉

15:46

「飲むとどうなるの?何のために飲むの?」

青にそう聞かれたときは答えられなかった。

青、わかったよ、泣くためだったよ。

涙が開ける、感情の扉がある。悲しい、苦しい、寂しい、恋しい。流れ出る感情に、反応と行為が生まれる。出す、見る、聞く、許す、認める、書く、知る、包む。

いつかコーチに聞かれたことがある。

「何のために書くの?」

奏くんは、弱音を吐いたり泣いたりもできる、たったひとりの存在だった。彼亡き今、それを書くことで出しているのだ、と、自分が言ったのを聞いた。

何のために書いているのだろう。

出すため、だけだろうか。

彼が、死ぬということ、それは翻って、生きるということを教えてくれている。それはまさに、一番の贈り物だと思う。分からないけれど、だから、書いているのだと思う。

25:19

ベッドで本を読む。顔を上げた寝室のドアが、やけに重たく寂しい。

足の間で眠るスナフィの体温に意識を向ける。温かさ。小さく上下する身体。温かで湿った吐息。

スナフィがいるから、この日々を乗り越えてこれた。彼無しでは考えられない。絶対に無理だったと言い切れる。

お布団の中に手を伸ばす。スナフィを抱き寄せて、その体温のなかで一緒に眠った。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です