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奏くんの夢を見ていた。
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奏くんは中尾彬のモノマネをしていて、「またやってる。久しぶりに見たな」と私は思う。
その存在はすごくリアル。だけれども、気がついた。
「これは夢だ。」
しかも。
「今回は夢って気づけた」と、そこにも気がつく。そう、前回の夢では気づけなかった。
そう言えば、その肌は妙に「つやっ」としている、というか、少し白飛びしている部分がある。夢だからかな、と、よーーーーく見つめる。うーん、でもやっぱりすごくリアルだ。
奏くんだ。今、ここにいるのは奏くんだ。
私には、あなたに伝えなきゃいけないことがある。
「こっちに来て」
吸い込まれるように、あなたを見ていた。
全身全霊で、言葉と共に伝えた。
「好きだよ。大好きだよ。」
私のすべてを込めた。
夢だから。夢でしか、それはできないから。
奏くんが近づいて来て、私は奏くんを見上げた。
彼から発せられる言葉は、声は、無かった。いや、必要なかった。
「それ」は、圧倒されるほどに伝わってきた。言葉にするのなら「俺も大好きだよ」。
目を閉じて、全身全霊で感じ取り、私のすべてで味わった。