10:11
朝。目が覚めて、はっ、とした。
夢で、流れ星を見たのだ。
しかも、いくつも。
なんてことだ。
急いでiPhoneに手を伸ばし、メッセージアプリを開く。昨夜遅くに届いた、奏くんの幼馴染、ヒガシくんのメッセージを読み返す。
「零さん、今晩は
空を見上げて!」
流星群とかかな、と寒空に出てみたけれど、あいにくの曇り空に星は見えなかった。
でも、夢のなかで、流れ星を見たのだ。いくつもの。
内容は思い出せないけれど、奏くんの気配も残っている気がした。
23:42
一週間もすれば冬至のこの時期、18時も過ぎれば、灯りの少ないこの辺りは真っ暗だ。狭い田舎道は、冬でも青々とした背の高く厚みのある槇の生垣がすぐ側まで迫り、運転をしているはずが、向こう側に見える真っ暗な空へ向かって押し出されているような気になる。
昨夜のヒガシくんの言葉が、チラチラと向こうの夜空を意識させる。流れ星はまだ見えるのかな。
そのときだった。
向こう側の真っ暗な夜空に、閃光が走った。
それは、大きくて長い光だった。流れ星?そう思った刹那に、光は火花のように散った。
流れ星じゃ、…ない?
「なにいまのなにいまの!?」
すっかり興奮し、きょとん顔のスナフィに話しかけ続けた。
隕石かもしれない。隕石が落ちるのなんて見たこと無いから、わからないけれど。
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夢の中での流れ星に続いての、現実世界での隕石(らしき流れ星的なもの)。
「空を見上げて」
の呼びかけから始まる一連の…、これはもう贈り物と呼ぼう、贈り物が、もうロマンチックすぎて笑ってしまった。
家に着いた頃には、もうひとりの幼なじみであるケイくんからも、「奏が夢に出てきたよ!」とLineがある。
おぉおぉ。なんだか、奏くん感がたくさんあって、すっごい嬉しいぞ。
なんかもう、みんなありがとう。