11:37
「そうか、もう君はいないのか」
作家・城山三郎が亡き妻を偲び綴った著書の題は、平易な言葉ゆえ甚く響く。
そう、
そんな感じなんだ
「そうか
もういないんだよね」
そういう温度で、
そういう熱量で、
そういう、受け入れざるをえない、あきらめの心持ちで、
「そうか
もういないんだよね」
って、そう思うんだ。
電車は揺れて、武蔵小杉駅に着く。
私のなかの、あなたと一緒に。
17:21
打ち合わせを終えての帰り道。
足取りは軽く、心は温かい。
まだ馴染まない大きなiPhoneを手に。
あれは手術の日だった。深夜の家族待合室。暗い室内に、滑り落ちたiPhoneが硬い音を立てた。ひび割れに、液晶漏れ。画面の半分は黒い液体に覆われた。思いつく限り、最悪のタイミングだった。
すぐに Calvin が使っていない iPhone を貸してくれ今日に至り、交代で今度は Josh が iPhone 7 plus を貸してくれることになったのだ。しかも無期限で。
駅のホームで電車を待ちながら、今日会ったひとりひとりを思い出す。
交わされた目線、気持ちやハグに、握手や会話。受け止めたそれは、今もなお、こんなにも私を包み暖めてくれる。
奏くん。あなたがいなくなってぽかんと空いた分を、みんなが分け合って、私を幸せにしてくれているよ。ものすっごい不幸だけども幸せで、それらが共存している、というのが本当のところなんだ。
26:07
今日のラストはどうけんの治療だった。
身体はすっかり、まろやかになった。
その上、いつも感じていた足のあのひんやり感を感じない…!すごいことだ。
以下、治療からのメモ
- 状態:だいぶ良くなった
- 呼吸:浅かった呼吸が深くなっている。胸のほうは良い感じだったので、治療でもっと深く、脇下の肋骨らへん、背中でも良い呼吸ができるようにした
- 脈:強い感じだったのが、良い感じになった
- 水を飲んだ方が良い。乾いたときで良いので飲む
- エネルギーが頭や上のほうに行っていて、下に回っていない
治療中に話してくれたどうけんの話を思い出す。
野球をやっていた小学6年生の頃。ピッチャーの暴投をキャッチャーは取れず、チームは負けた。キャッチャーは自分のせいだと泣き崩れ、ピッチャーはキャッチャーのせいだと舌打ちをした。それを見ていたどうけんは「自分のせいだ」と思った。自分が、「どうあるべき」なのかを見せてこれていたら良かったのだと。以降、少し手が届くくらいのお手本になれるようにと意識して、ここまできた。
起こっているひとつの「事実」に、人の数だけの解釈や意味づけがある。そしてそれは行動を変え、いつか、それぞれの「ストーリー」になる。
起こった「事実」に、私なりに解釈や意味づけを試みたり出来なかったりしなかったりしながら、日々を積み重ねてきた。その先に、今のこの身体の状態がある。
自分を治し、癒せるのは、自分しかいないから。