10:26
お義母さんから電話がある。久しぶりだ。どうしているかを報告し合う。声が元気そうで本当に良かった。奏くんの銀行口座について、暗証番号や通帳などは見つかったか、という内容だった。「…見つかってはいないけれど、隆が来たらやります」と言うと、「零ちゃんは本当にかわいいわね」と笑っていた。
16:20
良い感じにのって仕事をしている時にも、いきなりふっと頭が奏くんを呼び出してしまい(きっかけはどこにでも、どれだけでも溢れている)、気がついたら思い出したり考えたりしちゃって、呼吸が苦しい。苦しくなって始めて、考えてしまっていたことに気がついたりする。
一度、目を閉じて、深呼吸。
息を吸って、息を吐いて。呼吸に気持ちを向ける。
気持ちを、心を、落ち着かせる。
否定しない。追わない。
ただ、自然に、今ここ、に戻ってきて、目を開ける。
仕事に戻ろう。
18:41
ごはんを作るのは、しんどい作業だ。すぐに思い出す。ずっと、いる。
呼吸が苦しくなる。
でも、作ったんだ。食べないと。食べよう。がんばろう。
19:11
ごはんを食べ終わる。
明日のことを考える。青に勧めてもらった死別を支えるグリーフサポート団体、リヴオンの18時半開始の集まりに参加するため、夜、西麻布に行くことになっている。
どうしよう。正味5時間くらい、夜にスナフィを家にひとりぼっちにするのが辛い。スナフィの抱えるだろう寂しさや不安を思うとまた急に泣けてくる。奏くんのバカ、神さまひどいよ、なんでこんなことになってるんだ。
これから、どうしていったらいいんだろう。
0:26
久しぶりに、迫ってくる締め切りに向けて日付が変わるまで仕事詰めた。
今日は、スナフィとこれからどうしたら良いのか、という現実に直面する日だった。
17時半のオンラインミーティングに向けて、16時半には散歩に出れるよう作業を進めていた。そこに、直前の17時開始への変更依頼。相手の都合も考えるとOKを出す以外になかった。打ち合わせが終わったのが18時。外はもう暗い。この辺りの夜はもう真っ暗で、散歩は難しい。
しかもそのオンラインミーティングの間に散歩に行きたいと要求吠え。腹を立ててしまい、スナフィを締め出してしまった。たまに軽く吠えたり、がしがしやったけど、最後は比較的静かになっていた。
スナフィは、ずっと奏くんの側にいた。
週に数回は外出がある私と違って、奏くんは完全在宅ワーク。深夜まで忙殺されていることも多い私と違って、奏くんは完全にマイペースで仕事。スナフィの散歩だってご飯だっておやつだって、奏くんがメインで担っていた。
こうして、これまで通りにがっつり仕事をしていけば、うまく散歩がはまらない時が、これからもあるだろう。そういう時、どうしたら良いんだろう。
家にいるときはまだ良い。1日家にいない時だって、これからは確実に出てくる。出張だってある。でも、生活していかなきゃいけない。
ひとりになってしまった。