9:52
生理だからかなのか、朝から泣きそうだ。
昨夜は泣き過ぎた。記録的な目の腫れに、瞬きすら重い。
今日はなにもしたくない。気持ちも重い。
それにしても、どーーーーん、と気持ちが落ち込むとき、決まって誰かが連絡をくれる。昨日も、茉奈もいたし、ケイくんから写真が送られてきたり、Oくんや真子ちゃんとも話したし、泣きに泣いてるときには青から連絡があった。
今も、梨衣ちゃんから連絡がある。みんな、私を気にかけてくれている。心が温かくなる。少しだけ、軽くなったような気もした。
奏くんが私を心配して、みんなの心にふっと私を浮かべてたりして。
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私は間違っていたな。
健康管理する、ではなく、ふたりで、いかに健康に食べていくか、健康を維持して、より健康に暮らしていくか、という、日常の努力をするべきだった。
11:03
仕事をしなくちゃ。
気分を変えないと。
音楽を流そう。
iTunesを開く。「小沢健二のシリーズ番組、第三回は三浦大知が登場。」と目に入ってくる。
第三回が出たんだ。
第一回には満島ひかりが出ていた。夜の東京湾の船上で、風に吹かれながら「今夜はブギー・バック」を気持ち良さそうにふたりは歌い、私たちもふたりで一緒に歌った。楽しかった。満島ひかりが歌手だったことを知らなかった私に、奏くんは彼女のユニット、Folderの話をしてくれて、私は満島ひかりがいかに素晴らしい女優さんかを、たった一本だけ見た出演作、NHKの連続ドラマの話で語った。
その番組の、第三回が出たんだ。
いろんな痛みがある。
奏くんの知らないなにか。次から次に。遠くなる、奏くんのいたあの最後の時の一点。日々は、新しい出来事で満ちていて、その中にいる私も、少しずつ、何かを変えていく。私のその変化を、奏くんは知らない。変わっていく私自身が奏くんから遠のいて行くようで、痛みとなって私を苦しくさせる。
だけど、変わらないわけにはいかないから。生きていくことは、変わり続けていくことだから。
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。
猛き者も遂にはほろびぬ、偏ひとへに風の前の塵におなじ。
11:30
仕事しないといけないのに。もう全然だめだ。
今日で、何日経ったんだろう。
この家から奏くんがいなくなって、二ヶ月と、11日。
この世から、奏くんがいなくなって、一ヶ月と、10日。
もうすぐ、49日。
あなたはいま、どこにいるんだろう
昨日と今日。とてもつらい。
がんばろう、がんばろう。がんばろう。
あの日のまま、時が止まったデスクの上。まずはキレイにしよう。片付けよう。12時までは、そのことに集中しよう。
12:00
デスクがキレイさっぱり、「今」にアップデートされた。
ホコリもとって、水拭きもした。水気を含んだ木の感触が気持ち良い。私の希望のままに奏くんが作ってくれたお気に入りのデスク。
よし、仕事しよう。
25:55
奏くんの友人、連くんから連絡があり、日曜日にOくんと一緒に来ることになった。奏くんはここ数年、フィルムカメラとオールドレンズにハマっていた。遺された奏くんのカメラとレンズをどうしようかと思っていたから、フォトグラファーの連くんに相談できるのは嬉しい。何より、奏くんの部屋に来て、奏くんを感じてもらえることがとても嬉しい。
Calvinからも連絡があったり、奏くんの幼馴染、Oくんとのやり取りもあった。
そして、「チリコンカン作ったから」と、梨衣ちゃんから連絡がある。夕ご飯に一緒にチリコンカンを食べ、1時くらいまでいてくれた。霊のこととか、守護霊のこと、仕事のこと、恋愛のこと、とにかくいろいろなことを話した。
隆からも連絡がある。20日の49日法要に備えて、前日19日に休みを取りこちらに前入りしようかと思っている、と。
明日はゴミを出さないと。7時45分には起きて、ゴミを出して、スナフィーの散歩して、デザイン案いくつか作って11時の打ち合わせには間に合わせないと。
明日の19時の打ち合わせは初回だし英語だし、急に緊張感のあるのが入ってきたな。まぁでも…、Hさんに少し頼ろう。今は。
とにかく早く寝ないと。