10:09
昨夜、寝る直前に奏くんとのこと思い出して涙が溢れに溢れ、そのまま泣きながら知らないうちに眠っていた。
8時頃起きて、Aさんからの有難い心遣いメッセージを読む。そこで、紀亜がアクティブなことを見る。話しかけて、事の顛末を話すと、すぐに電話をくれた。長野から「今日これから行くよ」と言ってくれて、泣くほど有り難いオファーだったけど、今日は仕事もあるし面会もあるしでいっぱいいっぱいだから、明日、面会後に来てもらうことになった。
22:26
今日は良い一日だった!
あの仕事もこの仕事もやることをやって、最後の打ち合わせ後、スナフィを連れて病院に向かって急いで家を出た。
道中、郵便局で高額医療費の申し込みを出し(回収する郵便局員の手持ちボックスに入れるという超ギリ)、公園でスナフィを散歩してから病院へ。
今日は「奏くんに包まれコーディネート」で行った。奏くんの黒いTシャツを大きめに着て(なんて言ってもサイズがLL)、奏くんの黒いパタゴニアの帽子(今年の私からのBDプレゼントのひとつだった)、それらをデニムとコンバースで合わせて。お義父さんが「カッコいい」って(確か)言ってくれて嬉しかった。
昨日、お義父さんは鶏ごぼうの炊き込みごはんを作ったみたい。食欲がなかったお義母さんだけど、それはちゃんと食べれたみたいで(なんて素敵な話)、しかも私に持ってこようとしてくれてたみたいで(夏真っ盛りで断念)、その気持ちに感激した。
そして、面会。
ICU入ってすぐにある奏くんのセクションに、W先生とS先生の姿がある。ただでさえ静かに確実に緊張している体が、さらにぐっとこわばるのを感じる。怖い。最初の頃を思い出す。
他の面会のご家族が次々に先に呼ばれる中、私はひとりで、先生の処置が終わるのを10分以上待っていた。ようやく呼ばれて入ると、状態が良くなかった。
その時を思い出し、面会書を書く手が緊張しているのがわかる。名前が呼ばれ、中に入る。入り口すぐにある手洗い台で手を洗う。ご両親も洗い終わるのを待つ(いつも私を一番先にしてくれる)。高い緊張の中、カーテンを開ける。頭をこちらに傾けて通常に近い血色で眠っている奏くんがいて、緊張がとけて力が抜けた。
W先生は今日も、ゆっくりと時間を取ってくださる。
- 今日は37.9度。熱がある。(昨日菌が検出されたと言っていた肺炎が進んでいるんだ。)レントゲン撮った。昨日より肺炎の影は少なくなっているけど、値は少し悪くなっている。
- 呼吸、自発呼吸が半分くらい。酸素取り込みは濃度70%。次のステップに行ける目安は40-50%。先生は、60%くらいまでは下げたい、と。ここが現在一番の問題。
- 尿は1日100ccくらい。ここはあまり変化がない。「時間がかかる」のだ。
- 今日から、鼻から栄養を入れ始めたとのこと!やはり点滴でなく、消化器官を使った方がよいみたい。ちゃんと腸を動かすことが大事なのだと。
- ちゃんとお通じもある。
- 超音波検査をした。
- 強心剤はもう切れるみたい。
- 少しずつ鎮静剤を減らしている。(この場合、鎮静剤と麻酔はイコールと考えて良い)
- CPKは一貫して下がって来ている。緩やかではあるけれど。
- 肝機能の数値が少し悪くなって来た。
- 貧血気味なので、昨日輸血をして貧血を補正している。
昨日10時40分頃切った筋弛緩剤は少しずつ切れて来ており、明らかに体が動いている。少しだけれども、頭がうごいたり、不定期な胸の上がり下がりがある。人工呼吸器で完全に管理された呼吸をしているのとは、こうも違うのかと、心から驚き感激した。
人間は、意識に上がっていないところでたくさんの情報を受け取っているんだと気づいた。
ほんの少し動くこと、血色、手の色、手のむくみ、温かさ(しかもいろんなレベルの温かさや冷たさがある)、それらを総合して、その人が生きていることや、その人の状態を認識している。こんな少し動くだけで、こんなに私は嬉しくて嬉しくて、もう飛び上がらんばかり。生きている。頑張っている。それが、こんなに私を高揚させている。
普通に眠っているように見えるようになってきた。今日はマスクをして行ったので、ずっとしたかったけどいろいろ考えて控えていた、額にキス、を、去り際にマスク越しにして病室を後にした。キスパワーすごい。なぜか私がパワーもらう感じに。できて良かった!
帰り道、再びの恋のようだなと思った。もう一度私を見てほしい。キスしたい。抱き合いたい。手を、握り返してほしい。